消極的な「住民」の規定
地方自治法には書かれていないのですが、その都道府県を包合して日本全体が成り立ちそこに国民が出てくるというわけです。
この包摂型の住民概念は、市町村の住民を国民自治の基礎においているようにみえますが・・・
その実は、ちょうど日本で住所表記の書き方が、例えば○○県○○市○○(町)○○丁目○○番地というふうに広域から狭域へ下降する様式をとっています。
英米のように狭域から広域へ上昇する様式をとっていないように、必ずしも市区町村民を自治の出発点においていないといってよいでしょう。
同じ一人の日本人は市区町村民であり、都道府県民であり、しかも日本国民ですが、そのあり方は積み上げ型の重層的な自治構造となっているのではなく、むしろ下降型の分割管理の構造となっています。
第13条の二にあるように市町村は住民たる地位に関する記録をつねに整備し、戸籍事務と連動させて国民管理の基礎情報を入手・保管しなければならないのです。
もう一つ、第10条第二項から分かるように、住民を自治行政の権利義務の主体としていますが、地方公共団体がまずあって、住民がもつ権利はその地方公共団体が提供する役務を受ける権利であり、負担は、その地方公共団体が課する義務の分担なのです。
・・・ここでの考え方は、あくまでも既存の行政が所与であって、それを自ら形成ないし再形成する主体としての住民のイメージは少なくとも明示的ではないといってよいでしょう。
この消極的な住民観は、次の第11条にもみることができます。