オイル・ショックとアメリカ 3
ウォーターゲートというのは、ワシントン市のポトマック河畔に面したところにある、事務所とアパートを兼ねた平凡なビルの名前でした。
1972年6月17日の夜、このビルにある民主党全国委員会の事務所に5人の怪しい男が忍びこんで、盗聴器を仕掛けました。
ところが、どじなことに5人とも捕まってしまったのです。
『メディアの権力』という本を書いたデビッド・ハルバースタムが述べているように、いくつかの偶然が重ならなければ、この犯罪は、歴史を揺るがす大事件にはならなかったにちがいありません。
その偶然とは、第一にこの事件が起きたのが土曜の夜で、『ポスト』社には全国ニュース担当の大物の政治記者が、いずれも非番でいなかったということです。
平日だったら、彼らは全国的なニュースをほかに受け持っていたから、こんなローカルなニュースは取り上げてもあっさりと片づけられてしまったでしょう。